YouTube が動画をおすすめする仕組み

YouTube のおすすめ動画では世界中のユーザーに新しい発見や学び、楽しみを届けるコンテンツを紹介してくれます。

世の中には様々な動画が存在し、そしてそれを見たいと思う人がいます。YouTube のおすすめ動画システムが担う役割は、そのユーザーを見つけ出すことです。広大な図書館にある膨大な量の本の中から読みたい本を見つけることはとても困難です。YouTube では、おすすめ動画から視聴するユーザーがほとんどです。これは、登録チャンネルや検索から視聴する数をはるかに上回ります。今回はおすすめ動画の仕組みについて説明させていただきます。

 

おすすめ動画システムとは

おすすめ動画システムの基礎になっているのは、ユーザーが見たいと思い、価値を得られる動画を見つけてもらいやすくするというシンプルな原則です。おすすめ動画は、主にホーム画面と [次の動画] パネルの 2 か所で利用されています。ホーム画面とは、YouTube を開いたときに最初に出るページです。個々のユーザーに応じてカスタマイズされたおすすめ動画、登録チャンネル、最新のニュースと情報が表示されます。[次の動画] パネルは、動画の視聴中に表示され、視聴している動画に基づく追加のコンテンツとともに、そのユーザーが興味を持つであろうその他の動画が提案されます。

今日では、数十億本もの動画がシステムによって分類され、ユーザーが興味を持つ対象に応じてコンテンツがおすすめされています。例えば、私が アメリカンフットボール試合のハイライトを視聴したことが認識されると、私の少年期に行われたその他のスポーツ試合のハイライト動画がおすすめされます。おすすめ動画システムがなければ、この様な動画の存在を決して知らなかったでしょう。他のプラットフォームとは異なり、YouTube は単純に他のユーザーが見た動画だからといって、それをあなたにおすすめしたりはしません。YouTube のおすすめ動画システムが成功を収めた決め手は、ユーザーの視聴したい動画を高い精度で予測する能力です。

どのユーザーについても、その人固有の視聴傾向があるという認識から開発を始めました。そこで、ユーザーの視聴傾向を他の類似ユーザーと比較し、その情報に基づいてユーザーが視聴するかもしれない他のコンテンツを提案するようになりました。例えば、あなたがテニス動画を好んでいたとして、同じテニス動画を好きな他のユーザーがジャズ動画も視聴していたとすれば、ジャズ動画があなたのおすすめ動画に表示される可能性があります。これは、ジャズ動画をそれまでに一度も視聴したことがなかったとしてもです。

とは言え、当然ながら、このような情報を YouTube と共有することを誰もが望んでいるわけではないことも承知しています。そこで、どの程度のデータを YouTube に提供するか決められる管理ページを作成しました。YouTube の検索履歴と再生履歴をいつでも一時停止、編集、削除できます。

 

YouTube のおすすめ動画をカスタマイズする方法

個々のユーザーに合わせたおすすめ動画を提示するための「レシピ」があるわけではありません。おすすめ動画システムは絶え間なく進化していて、シグナルと呼ばれる 800 億件以上もの情報から日々学習しています。クリック数、総再生時間、アンケートへの回答、共有、高評価、低評価など、いくつかのシグナルが相互に作用して、ユーザーの満足度をシステムに伝えています。

●クリック数: ユーザーは大抵の場合、視聴したい動画をクリックするので、クリックした動画に満足感を覚える可能性が高いです。しかし、動画がクリックされたからといって、実際に視聴されたわけではないということは 2011 年からわかっています。例えば、あなたが、ある年のウィンブルドン選手権のハイライトを検索したとします。そしてそれを見つけクリックしたとします。しかし、現れたのは部屋で試合について語る人物でした。その後、[次の動画] パネルに表示されるおすすめ動画をクリックしてみると、今度は別のファンが試合について語っているだけでした。それらの動画を次々とクリックしていき、ようやく、見たかった試合の映像が含まれる動画がおすすめされました。このようなケースを考慮し、2012 年に総再生時間という指標を追加しました。

●総再生時間: 総再生時間は、ユーザーがどの動画をどの程度の時間視聴したかを示すものです。そのユーザーが何を視聴する可能性が高いのか、例えば、あるテニスの人がウィンブルドンのハイライト映像を 20 分間視聴し、試合分析の動画は数秒間しか視聴しなかった場合、この人は試合ハイライト動画を視聴することを好むと想定できます。

●アンケートへの回答: 視聴しているコンテンツにユーザーが本当に満足しているかを確認するために「有意義な視聴時間」を測定の対象としました。これは、ユーザーが有意義であると捉えている動画の視聴に費やされた時間で、ユーザー アンケートを使用してそれを測ります。視聴した動画を星 1 〜 5 つでユーザーに評価してもらい、そのコンテンツへの満足度を判断するための指標とします。評価が星 1  〜 2 つの場合は、低評価の理由を質問します。星 4  〜 5 つの場合は、刺激を得られたり、有意義であったか、という質問をします。星 4 つまたは 5 つの高評価となった動画だけが、「有意義な視聴時間」のカウント対象になります。

●共有、高評価、低評価: ユーザーが動画を共有または高評価した場合、その動画に満足している可能性が高いと言えます。この情報は、ユーザーがさらに別の動画を共有・高評価するかを予測するために利用されます。ユーザーが低評価を付けた場合、そのユーザーにとってその動画が楽しめないものであったことを示唆するシグナルになります。

おすすめ動画と同様に、個々のシグナルの重要度はユーザーによって異なります。星 1 つまたは 2 つと評価したものも含めて、視聴したあらゆる動画を共有するタイプのユーザーに対しては、共有の履歴の比重は低い仕組みになっています。これらすべての挙動からわかるとおり、YouTube のおすすめ動画システムは決まった計算式に従っているわけではなく、ユーザーの視聴習慣の変化に伴って発展しています。

 

信頼の置けるおすすめ動画の提供

クリック数、視聴回数、総再生時間、ユーザー アンケート、共有、高評価、低評価は、YouTube で多く視聴されている音楽やエンターテイメントなどのコンテンツのおすすめ動画を表示する上で非常に役立ちます。一方、ニュースやあるトピックに関する情報収集のために YouTube にアクセスするユーザーも年々増えています。ニュース速報や複雑な科学的研究といったトピックで重視すべきは、情報の質と文脈です。「地球は平面である」と主張する動画にとても満足したと言う人もいますが、この様な質の低いコンテンツをおすすめしてしまうことは、YouTube の本意ではありません。

おすすめ動画が極めて重要な役割を担っているのは、信頼の置けるプラットフォームを維持するためです。おすすめ動画はユーザーを信頼できる情報へとつなげて、問題のあるコンテンツが表示される可能性を最小限に抑えます。

昨今の誤情報の増加により、おすすめ動画システムの活用範囲をさらに拡大して、問題のある誤情報とガイドラインのボーダーライン上のコンテンツ(明らかなコミュニティ ガイドライン違反ではないものの、違反に近いコンテンツ)を対象に含めました。「人類の月面着陸はねつ造だ」と主張する陰謀論の動画や、「オレンジジュースで癌を治せる」などと言った誤った情報を拡散しようとするコンテンツも含まれます。

分類システムによって、動画が「信頼できるコンテンツ」と「ガイドラインのボーダーライン上のコンテンツ」のどちらであるかを審査しています。各チャンネルや動画にある情報の質を目視で分類しています。審査担当者は世界のさまざまな地域の出身であり、公開されている評価ガイドライン(英文)に沿ってトレーニングを受けています。健康に関する情報が含まれているコンテンツの場合は、医師など資格を有する専門家の意見も取り入れています。

人の目によるこれらの審査結果が反映されるように YouTube のシステムをトレーニングし、目視審査を YouTube のすべての動画に拡大させています。

おすすめ動画に関する責任の総合的な取り組みは、目に見える形で効果が表れています。信頼できるニュースの総再生時間は飛躍的に伸び、ボーダーライン上にあるコンテンツの視聴は減少しています。これで一件落着となるわけではなく、システムの持続的な改善に向けて工夫や投資を継続しなければなりません。YouTube では、ガイドラインのボーダーライン上のコンテンツがおすすめ動画をきっかけとして視聴される回数を、全視聴回数の 0.5% 未満とすることを目指しています。

YouTube のおすすめ動画システムは、ユーザーから寄せられるフィードバックをもとに日々改善していますが、いっそうの改良の余地は常に存在しています。これからも、おすすめ動画システムが絶えず適切に機能し、ユーザーに最大限に有用で有益な体験をお届けできるよう努めます。

 

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